アンケート調査法とデータ解析(理論と応用)

著 者:菅 民郎
出版社:現代数学社
価 格:¥4,290(税込み) 
体 裁:A5判 388頁
出版年月:2025年11月

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 アンケート調査は、知りたいこと(目的)を明確にし、その目的を解明するために、調査企画、調査票の作成、集計、推定・検定、多変量解析を行います。目的を解明するためには、それらのどの工程も非常に重要で、またその工程それぞれに、分析者が最低限知っておかなければならないことが多くあります。そこで本書は、それぞれの工程に対する実務的知識が理解できるように、一般的なニーズを鑑みつつ、多くの事例を用いて、できるだけ噛み砕いて解説しました。

 アンケートデータ解析の主流は、因果関係を解明するクロス集計、カテゴリー別平均、散布図、相関係数などの2変量解析とも言えますが、時には数多くの質問項目を絡めて分析しなければ解決できないテーマもあります。
 本書の大きな特徴として、クロス集計をより詳しく解説し、さらにアンケートデータの分析に役立つ解析手法を5つ(偏差値、正規分布、価格決定分析、相関分析、CS分析)、近年の学術論文で用いられる解析手法を5つ(経時データ分散分析・ダネット検定/カットオフ値とROC解析/傾向スコアマッチング・IPW/決定木/共分散構造分析)について、解析方法・結果の見方・解釈の仕方を解説しました。

 掲載したほとんどの解析結果は、アイスタット社のExcelアドインソフトで出力しております。アンケート調査の入門者、実務者には、とっておきの教科書として位置づけています。

目次

第1章 アンケート調査の基本と準備

アンケート調査の目的、プロセス、調査設計のことを知り、調査設計の立て方について学びます。

  • アンケート調査の目的とプロセス
  • 調査設計
  • 項目関連図と質問項目
第2章 調査票のつくり方と質問内容

調査目的、把握内容に沿った調査票の作成方法について学びます。

  • 調査票の基本
  • 質問順序と調査票のレイアウト
  • プリコード回答法
  • 自由回答法
  • 段階評価
  • 間接質問や回答者属性の聞き方
  • 調査票の見本
第3章 アンケートデータの集計

アンケート調査における集計方法の種類を知り、その中でも代表的な単純集計の計算方法、結果の見方、活用方法について学びます。

  • 調査集計とは
  • 調査データのタイプ
  • 単純集計
  • 回答割合
  • 平均値・中央値・最頻値
  • 偏差平方和・分散・標準偏差
  • 度数分布
  • 段階評価の集計方法
  • 単純集計のグラフ
第4章 クロス集計

クロス集計とはどのような解析方法かを知り、その計算方法、結果の見方、活用方法について学びます。

  • クロス集計
  • クロス集計表の加工・編集
  • クロス集計表のグラフ
  • クロス集計表作成・活用の5か条
  • 母集団補正集計・母集団拡大集計
第5章 データ分析に役立つ5つの解析手法

データ分析に役立つ5つの解析を解説します。
■ 基準値・偏差値
■ 正規分布・正規分布のあてはめ
■ 価格決定分析
■ 相関分析
■ CS分析

  • 基準値・偏差値
  • 正規分布
  • 正規分布のあてはめ
  • 価格決定分析
  • 相関分析
  • クラメール連関係数
  • 単相関係数
  • 相関比
  • スピアマン順位相関係数
  • CS分析とは
第6章 アンケート調査による母集団の把握

アンケート調査から得たデータから母集団のことを推測する統計的推定、統計的検定、サンプルサイズの決め方について学びます。

  • 統計的推定
  • 母比率の推定
  • 母平均の推定
  • 統計的検定
  • 母比率の差の検定の種類
  • 母比率の差の検定/タイプ1の検定
  • 母比率の差の検定/タイプ2の検定
  • 母比率の差の検定/タイプ3の検定
  • 母比率の差の検定/タイプ4の検定
  • 母平均の差の検定の種類
  • 対応のない、対応のあるとは
  • 母平均の差の検定/対応のない場合 Z検定
  • 母平均の差の検定/対応のない場合 t検定
  • 母平均の差の検定/ウエルチのt検定
  • 母平均の差の検定/対応のある場合のt検定
  • 両側検定、片側検定
  • サンプルサイズ決定法
  • 効果量、検出力を適用したサンプルサイズの決め方
  • サンプル抽出法と標本割り当て
第7章 カットオフ値とROC解析

与えられた値から真(TRUE)か偽(FALSE)かを判断したいことがあります。例えば模擬試験の点数が何点以上であれば○○大学に合格(不合格)かを予測したい、検査値がいくつ以上であれば病気(健康)かを判断したいなどです。
カットオフ値(cutoff value)とは、このような判別のために定量データを区切るために用いる基準の値のことです。カットオフ値を算定する手法はいくつかありますがROC解析はその中の一つの手法です。

  • カットオフ値解析
  • 2×2分割表のクラメール連関係数解析
  • ROC解析
第8章 分散分析と多重比較検定

分散分析は analysis of varianceの頭文字をとって ANOVA(アノバ)ともいいます。 
2群の平均値の有意差を検討するにはt検定を用いるが、3群以上の平均値の有意差を調べる場合ANOVAを用います。
分散分析は全体的な平均値の相違を調べる方法で、どの群間に有意差があるかは把握できません。
分散分析によって全体的な相違が認められた場合、どこの群間に有意差があるかは多重比較法によって検証します。

  • 一元配置分散分析
  • 多重比較検定
  • 二元配置分散分析
第9章 経時データ分散分析

経時データ分散分析は各個体(サンプル)について時点のデータが測定されているとき、時点間の平均に有意差があるかを検証する方法です。
各個体に群情報がある場合、群ごとに時点間の平均に有意差があるかを検証できます。また、時点ごとに群間の有意差を検証できます。

  • 経時データ分散分析の適用データと種類
  • 時データの分散分析表と多重比較
第10章 共分散分析

共分散分析はANCOVA(アンコバ)といいます。
共分散分析は分散分析と同じように母平均の差の検定、母平均の群間比較を行う解析手法です。
共分散分析が分散分析と異なる点は共変量(交絡因子)の影響を取り除いて母平均の差の検定を行うことです。

  • 2群データの共分散分析
  • 3群データの共分散分析
第11章 多変量解析

多変量解析は目的変数のある場合の手法、目的変数のない場合に大別されます。
それぞれ、どのような解析手法があるかを紹介しますが、この章で解説するのは重回帰分析、数量化1類、ロジスティック回帰分析です。

  • 多変量解析
  • 重回帰分析
  • 数量化1類
  • ロジスティック回帰分析
第12章 傾向スコアマッチング・IPW

傾向スコアマッチング・IPWは共分散分析と同じように共変量 (交絡因子)の影響を取り除いて母平均の差の検定を行う解析手法です。
共変量の個数は共分散分析が1つであるのに対し当解析手法は複数個適用できます。
ロジスティック回帰分析より算出される傾向スコア(確率)を適用して共変量の影響を除去します。

  • 共変量影響除去後の平均を比較する解析手法
  • 傾向スコアマッチング
  • IPW(プロペンシティスコア)
第13章 決定木分析

決定木分析は分類木と回帰木を組み合わせたもので、ツリー(樹形図)によってデータを分析する手法です。
機械学習やアンケート調査、マーケティングや意思決定などさまざまな分野で用いられています。

  • 決定木分析とは
  • 分類木
  • 回帰木
第14章 コンジョイント調査と分析方法

コンジョイト分析は製品完成予測図を評価させる調査です。
コンジョイントカードの作成方法や評価方法について、分析結果の見方について解説します。

  • コンジョイントカードに対する評価方法
  • 部分効用値、重要度、全体効用値とは
  • コンジョイントカードの作成方法
  • コンジョイント分析の計算方法
  • 直交表
  • 具体例
第15章 因果関係解明調査と因子分析

因子分析は、データに潜む因子を見出し、因子を用いて集計項目の分類・集約、因子間相互や因子と目的変数との因果関係を解明する解析手法です。
本章ではその手法の適用の仕方や結果の見方、活用法を解説します。

  • 因果関係解明調査における因子分析の役割
  • 因子分析で把握できる内容と因子分析の手順
  • 因子分析の仕方と結果の見方
  • 因子得点の活用方法
  • 因子分析の事例
第16章 因果関係解明調査と共分散構造分析

共分散構造分析は、アンケート調査のデータにおいて、分析者が質問項目間の因果関係について仮説を立て、これが正しいかどうかを検証する解析手法です。
本章ではその手法の適用の仕方や結果の見方、活用法を解説します。

  • 共分散構造分析とは
  • 共分散構造分析から把握できる内容
  • 共分散構造分析の統計指標の見方・活用方法
  • 潜在変数のある共分散構造分析
  • 共分散構造分析の事例
第17章 消費者セグメンテーション調査と数量化3類・クラスター分析

消費者セグメンテーションの目的、質問文、解析方法、解析手順を知り、消費者セグメンテーションの仕方について学びます。

  • 消費者セグメンテーションとは
  • 消費者セグメンテーションの手順と解析方法
  • 消費者セグメンテーション調査の事例