決定木分析

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決定木分析

決定木分析とは

 決定木分析とは、決定木(けっていぎ・ディシジョンツリー・decision tree)とよばれる樹形図(ツリー構造)を使いデータを分析する手法です。決定木は分類木と回帰木を組み合わせたもので、名前の通り、分類木は対象が分類変数(カテゴリー)、回帰木は数量変数の問題を解決します。
 決定木分析では、全変数の可能な数の分岐点を試行しながら探し、別れた2つのグループの平均あるいは割合の差が最大になるように分岐し、ツリー(樹形図)を作成します。ツリー構造によって、対象となる項目にどの変数がどれほど影響しているかを把握できます。

 アンケート調査、マーケティングや意思決定などさまざまな分野で用いられています。

(例)温度と湿度がどのようなとき、アイスの売上が好調か不調かを表現したツリー(樹形図)

分類木(ぶんるいぼく)

目的変数がカテゴリーデータ(例:売上好調/不調)の場合について解説します。

≪ 例題 ≫

アイスクリームの日々の売上はその日の温度、湿度が影響していると思われます。
12日間についてアイスクリームの売れ行きとその日の温度と湿度を調べ、縦軸に湿度、横軸に温度をとり12日間の点グラフを作成しました。▲点は売上が好調な日、●点は不調な日です。

次に、売上の好調・不調を判別する要因は温度、湿度のいずれなのかを調べることにします。

このことを点グラフで考えた場合、縦線、横線どちらの線で分けると▲点と●点がより明確に分けられるかと同じことです。

グラフから判断すると、縦線の方が
横線より▲点と●点を判別しています。
計算で判断する場合は判別クロス表、
ファイ係数を適用します。

判別クロス表


<縦線で判別する場合>

縦線を引いたとき、左右に位置する▲点(好調)と●点(不調)の個数を数えます。

30℃で縦線を引いたとき、右側は▲4個、●1個、左側は▲1個、●6個です。

考えられる全ての判別クロス表、ファイ係数を算出し、ファイ係数が最大となる縦線(分割点)を見出します。

この結果を判別クロス表にしてみます。

そして30℃で分けた時の判別の精度をファイ係数で把握します。

同様に、28.5℃で縦線を引いたときの判別クロス表、ファイ係数を算出します。

さらに、31.5℃で縦線を引いたときの判別クロス表、ファイ係数を算出します。

ファイ係数が最も高いのは、28.5℃の0.714。
この例では28.5℃で縦線をひいたとき、▲(好調)と●(不調)の分け方が良いということが分かりました。


<横線で判別する場合>

今度は湿度で、売上の好調、不調を判別する横線を求めます。
温度同様に、湿度についても判別クロス表、ファイ係数を算出します。

ファイ係数が最も高いのは0.311で、湿度で▲(好調)、●(不調)を判別する横線は44.5%です。


<次のステップ>
最初のステップとしては、温度、湿度のどちらが売上の好調・不調の影響要因であるかを調べることでした。

温度のファイ係数最大は0.714、湿度のファイ係数最大は0.311で、影響要因の1位は温度でした。
次のステップは、影響要因1位の温度が28.5以上の点(サンプル)7個について、▲点(好調)、●点(不調)を判別する横線を引くことです。

判別クロス表、ファイ係数を算出します。

湿度45.5%で判別した時のファイ係数が最大です。 
温度が28.5℃以上のn=7で、▲点と●点を判別する横線は湿度45.5%です。


<ツリー(樹形図)>

今までの結果から、温度と湿度がどのようなとき売上が好調であるか不調であるかを表現したツリーを作ることができます。

ツリーから売上が好調な日は、温度が28.5℃以上、湿度が45.5%以上の日であることが分かります。
このようにツリーで表現し売上に温度や湿度がどのようにどの程度寄与しているかを把握する手法が決定木(けっていぎ)です。
この例の目的変数は売上で好調、不調のカテゴリーデータ(分類データ)です。
目的変数が分類データの場合、決定木分析の分類木(ぶんるいぼく)といいます。

回帰木(かいきぼく)

目的変数が数量データの場合について解説します。
目的変数がカテゴリーデータの解析方法は分類木といいますが、目的変数が数量データの解析方法は回帰木(かいきぼく)といいます。
下図のように、日々の温度と湿度のデータ、および、その日のアイスクリーム売上金額のデータが与えられた状況を考えてみます。

図の1つの点が1日を表します。
数字は売上金額を表します。
例えば、温度が 31℃で湿度43%の売上金額は18万円です。

次に、売上金額の大小を判別する要因は温度、湿度のいずれなのかを調べることにします。

このことを点グラフで考えた場合、縦線、横線どちらの線で分けると▲点と●点がより明確に分けられるかと同じことです。

判別できる縦線、横線は判別平均表、相関比から求められます。


<縦線で判別する場合>

温度28.5℃、30℃、31.5℃で判別した時の判別平均表と相関比を算出します。
28.5℃で判別した時、売上平均の差、相関比が最大です。
温度は28.5℃で売上金額の大小を判別できます。


<横線で判別する場合>

湿度44.5%、45.5%、47%で判別した時の判別平均表と相関比を算出します。
44.5%で判別した時、売上平均の差、相関比が最大です。
湿度は44.5%で売上金額の大小を判別できます。


<次のステップ>

最初のステップとしては、温度、湿度のどちらが売上金額の影響要因であるかを調べることでした。
温度の相関比最大は0.600、湿度の相関比最大は0.164で、影響要因の1位は温度でした。
次のステップは、影響要因1位の温度が28.5以上の点(サンプル)7個について、売上金額の大小を判別する横線を引くことです。

判別平均表、相関比を算出します。

湿度45.5%で判別した時の相関比が最大です。 
温度が28.5℃以上のn=7で、売上金額の大小を判別する横線は湿度45.5%です。


<ツリー(樹形図)>

今までの結果から、温度と湿度がどのようなとき売り上げが好調であるか不調であるかを表現したツリーを作ることができます。

ツリーから、売上金額が大きい日は、温度が28.5℃以上、湿度が45.5%以上の日であることが分かります。
このように目的変数が数量データで分類のルールをツリーで表現したものを回帰木といいます

事例①(分類木)_カテゴリー変数の問題を解決

《 具体例 》
ある新製品の購入意向を調べるアンケート調査を行った。調査からの把握内容を次の2点とする。

① 性別、年代、未既婚などの属性項目において、どの項目が購入意向に影響を及ぼしているかを明らかにしたい。

② 属性項目の選択肢で、例えば女性、20代、未婚等、どの層で購入意向が高いか、さらに層の絞り込み(例えば女性かつ20代かつ未婚)で見た時、どのような絞り込みの層で購入意向が高いかを明らかにしたい。

分類木は、対象が分類変数(カテゴリー)の問題を解決します。
ツリー構造によって、対象となる項目にどの変数がどれほど影響しているかを把握できます。

把握内容①の解析

性別、年代、未既婚の個々と購入意向とのクロス集計を行い、クロス表のカイ2乗検定、およびカイ2乗検定の効果量クラメール連関係数から把握できます。

▮ カイ2乗検定とクラメール連関係数

どの項目が購入意向に影響を及ぼしているかをクラメール連関係数で調べた。
クラメール連関係数から、「購入意向への影響度が最も高いのは性別、次に年代、未既婚が続く。」が把握できます。

▮ クロス集計

クロス集計から、「購入意向が高い層は、男性、20代、30代、既婚である。」が把握できます。

把握内容②の解析

②のテーマ「どのような組み合わせの層で購入意向が高いか」は、クラメール連関係数及びクロス集計で明らかにすることはできません。これを解決してくれるのは決定木分析です。
目的変数は購入意向有無のカテゴリーデータなので、分類木_決定木分析を適用します。
分類木の結果を示します。

購入意向に最も影響するのは男性/女性の区分で、男性であれば47%の確率で購入意向があります。

次の影響属性は年代です。年代の選択肢は3択です。
決定木分析は全ての項目を2つに区分して樹形図を作成する手法です。
年代の場合の区分は、【20代・30代/40代】【20代・40代/30代】【30代・40代/20代】の3パターンあります。
どのパターンが購入意向有無の判別に適しているかを計算します。
この例題は【20代・30代/40代】の区分けが選択されました。
男性で【20代・30代】は21人で購入意向率は66%です。男性40代の15%を上回っています。

3番目の影響属性は未既婚です。
男性で【20代・30代】のうち、既婚は13人で購入意向率は92.3%です。未婚は8人で購入意向率は25%です。
この新製品のターゲット層は、男性、20代・30代、既婚の人であることが分かりました。

この例題の目的変数は購入意向、説明変数は性別、年代、未既婚で全てカテゴリーデータです。
説明変数が数量データ、例えば年齢が27才、42才、53才、・・・であっても、購入有無の判別に適した2分割を見出してくれます。
ただし、目的変数は2分類でなければなりません。
目的変数が数量データの場合は決定木分析_回帰木を適用します。

事例②(回帰木)_数量変数の問題を解決

《 具体例 》
あるテーマパークの夏季期間43日間についてアイスクリームの売上金額を調べた。

① アイスクリームの売上げは温度、湿度、天候のどの項目の影響を受けるかを明らかにする。

② 各項目について2つの水準(例えば温度であれば30℃より小さい/30℃より大きい)に分割した時、どの水準で売上金額は大きくなるかを明らかにする。

③ 水準の組み合わせ(例えば、「29.5℃より大」かつ「湿度54.5%より大」かつ「晴れ」)で見た時、どのような組み合わせで売上金額が高いかを明らかにしたい。

目的変数が数量のデータ

回帰木は対象が数量変数(数量データ)の問題を解決します。
ツリー構造によって、対象となる項目にどの変数がどれほど影響しているかを把握できます。

把握内容①の解析

湿度、温度、天候とアイスクリーム売上金額との相関係数から把握できます。
ただし、天候とアイスクリーム売上金額との相関係数は天候がカテゴリーデータなので、下記のいずれかで相関係数を算出しなければなりません。
ⅰ 数量データとカテゴリーデータとの相関は相関比を適用する。
ⅱ カテゴリー数が2のカテゴリーデータはダミー変換(1.0)し、スピアマン順位相関係数を適用する。

▮ アイスクリーム売上金額と3項目との相関係数・無相関検定

注. 相関係数はピアソン相関係数を適用
ただし、天候はスピアマン順位相関を適用

どの項目がアイスクリーム売上金額に影響を及ぼしているかを相関係数で調べました。
相関係数から、アイスクリーム売上金額への影響度が最も高いのは温度、次に湿度、天候であることが分かりました。

把握内容②・③の解析

②と③の課題は、相関係数で明らかにすることはできません。
これを解決してくれるのが回帰木_決定木分析です。結果を示します。

アイスクリーム売上金額に最も影響するのは温度です。温度の区分は「30.5℃より大」「30.5℃より小」です。
次の影響項目は湿度です。湿度の区分は「54.5%より小」「54.5%より大」です。
3番目の影響項目は天候です。天候の区分は「晴れ」「曇り・雨」です。
売上平均が最も大きい層は「温度30.5より大」「湿度54.5%より大」「天候は晴れ」の日で、日数は13日間、売上平均は25.8万です。
アイスクリーム売れる日は温度が30.5℃以上、湿度が54.5%以上、晴れの日です。

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