因子分析

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因子分析はどのような解析手法か ≪ 1/3 ≫

主成分分析との比較、因子分析とはどのような解析手法か

 因子分析とは、数多くの観測変数(実存するデータ)から、少数の潜在変数を作る(測定したデータではなく計算式によって作り出されたデータを作る)解析手法です。

 多変量解析の手法は、目的変数が「ある場合」と「ない場合」の二つに分けられます。目的変数のない場合の手法は、説明変数が「数量データの場合」と「カテゴリーデータの場合」の二つに分けられます。説明変数が数量データの場合の手法は、主成分分析と因子分析があります。どちらの手法も、数多くの変数から少数の潜在変数を作ります。

 主成分分析と因子分析は非常に類似した手法ですが、潜在変数の作られ方に違いがあります。

 主成分分析の潜在変数は、一つは総合力があり、それ以外の潜在変数は相反する概念のもの、例えば、文系能力と理系能力、お笑い系能力とアイドル系能力など、となります。

 これに対し因子分析の潜在変数は、総合力が存在しません。そして潜在変数一つ一つが一つの概念、例えば、1番目潜在変数は文系能力、2番目潜在変数は理系能力を現します。


 右のAが因子分析、Bが主成分分析の結果です。

因子分析が適用できるテーマ

 △△は、全国に300店のコンビニを持つ会社です。300店の売上をみると、1日の売上(日販)は20万円~100万円とさまざまです。売上の大小は、立地条件が大きく寄与していることはいうまでもありませんが、取り扱っている商品・サービスの内容、商品の味・新鮮さ、店のレイアウト・清潔感、従業員の接客態度なども起因していると考えられます。

そこで、これらの要素について、顧客がどのように評価しているかを知るために、△△の20店を対象に来店客のアンケート調査を行いました。

右の表は、店ごとに、9つの評価項目の平均値を示したものです。
 この結果を分析し、店を評価する潜在変数を作成します。潜在変数で個々のお店を得点化します。得点より個々のお店を評価し、各店の今後の経営方針を決定します。

 このデータは説明変数だけで目的変数がありません。データは全て数量データです。分析は通し新しく見出す潜在変数に総合力がありません。これらからこのテーマは、因子分析の適用が最適だといえます。

因子分析が適用できるデータ

  • 主成分分析は説明変数の個数が個体数より多くても実行できましたが、因子分析は説明変数の個数より個体数が多くなければいけません。
  • 目的変数のない場合の手法では係数矛盾現象は起こりません。したがって説明変数相互の相関が高いデータでも問題ありません。
  • ある観察変数のデータが全て同じ場合、多変量解析同様実行できません。
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