母比率の推定の概要
母集団の割合は○%~○%の間にある、例えば、「内閣支持率は47%~53%の間にある」と幅を持たせて推定する方法を母比率の推定という。
母比率の推定は標本調査から得られた割合から区間を求め、区間を用いて母集団の割合を推定する方法である。この区間のことを「信頼区間」といい、論文などでは略語表記として「CI」が用いられる。
母比率の区間推定はサンプルサイズnが30以上か否かによって推定方法が異なる。
nが30以上はz推定、30未満はF推定を適用する。
z推定の信頼区間

補正項は次式によって求められる値である。
ただし、Nは母集団サイズ、nはサンプルサイズ
母集団サイズNが100,000未満を有限母集団、100,000以上あるいは計測できない場合を無限母集団という。
無限母集団の補正項はほぼ1になるので無視してよい。
F推定の信頼区間

<Fn、Fmの計算例>



母比率の推定の結果
具体例1
東京都に居住する有権者の内閣支持率を調べるためにn=400の標本調査を行った。
内閣を支持する人の割合は30%である。
信頼度95%で、東京都に居住する有権者の内閣支持率を推計せよ。
推定結果
nは30以上なのでz推定を適用する。
信頼度95%で、東京都に居住する有権者の内閣支持率は25.5%から34.5%の間にあるといえる。
具体例2
ある日のA氏の射撃成績は、8発中2発が命中しただけである。
信頼度95%でA氏の射撃の命中率を推定せよ
推定結果
nは30未満なのでF推定を適用する。
A氏の命中率は、信頼度95%で、32%から65%の間にあるといえる。