分散に関する検定は三つに分類できる。
母分散比と比較値の差の検定
1項目(1群)のデータの標本分散と解析者が定める比較値から、母分散が比較値と異なるかを検証する検定方法である。
母分散比の検定
2項目(2群)のデータの標本分散から、母集団における2項目(2群)の分散は異なるかを検証する検定方法である。
等分散性の検定
3項目以上(3群以上)のデータの標本分散から、母集団における3項目以上(3群以上)の分散は等しいかを検証する検定方法である。
代表的手法としてバートレット検定とルビーン検定がある。
いずれの検定も、正規分布している母集団から無作為抽出した標本の分散を比べて、それぞれの分散に有意な差があるかどうかを確かめるために行うものである。
したがって、母集団が正規分布であるかどうかの検定(正規性の検定)の事前検定を行うことになる。
しかし、一般的に得られるサンプルサイズは小さいことが多く、標本データから母集団が正規分布であるかどうかを判断することは難しい。
非正規母集団について少数サンプルの標本調査を行った場合
少数サンプルがゆえにp値>0.05となり、非正規母集団なのに正規分布であるという誤った判定がなされてしまうことがある。
正規母集団について多数サンプルの標本調査を行った場合
多数サンプルがゆえにp値<0.05となり、正規母集団なのに正規分布でないという誤った判定がなされることがある。
分散に関する事前検定として正規性の検定を行うことを薦めている者がいるが、今述べた理由から、正規性の検定は必ずしもする必要はない。
重要なのは経験的、理論的に母集団が正規分布に従うといえるかどうかを考えるということである。すなわち、経験的、理論的に明らかに正規分布に従わないであろうデータと考えられる場合については、分散に関する検定はしない(できない)とする。
母集団における標準偏差の同等性の検定は、分散の同等性の検定と同じである。母分散が同等でないと言えれば、母標準偏差も同等でないといえる。